2019年12月中国湖北省武漢市で新型コロナウィルスが発症し、以後世界中に感染が広がりました。日本においては2020年4月7日に安倍首相より緊急事態宣言が全国に発令され、外出自粛や休校、大規模イベント休止等の協力要請がなされました。

この緊急事態宣言に伴う自粛以降によく聞かれるようになった言葉として「3密」、「ソーシャルディスタンス」が挙げられます。今回はこの3密、ソーシャルディスタンスについてと、今後の社会生活への影響について取り上げてみたいと思います。

 

3密とは、何か?

「密閉」、「密集」、「密接」のことを3つの密と言います。新型コロナウイルスの集団発生防止のため、この3つの「密」を避けながら生活することが重要と考えられています。

まず「密閉」とは、換気ができない様な状態の空間のことであり、例えば会議室など多目的室、映画館、カラオケボックスなどが挙げられます。家庭においても家庭用エアコンなどは換気機能がないものもあり1時間に1、2度は窓を開けたりしながらの換気が必要になっています。

次に「密集」とは多数が集まる場所を表しています。例として、コンサート会場、ライブハウスや飲食店、百貨店など商業施設などが上げられます。「密集」を避けるために、人と人の間隔を安全と思われる一定の距離で保つことが有効とされています。目安として2メートル(少なくとも1メートル)の空間を確保することが推奨されています。

企業などではテレワーク(在宅業務)を実施する会社も多く、出来るだけ同じ部屋で仕事をしないような工夫が求められています。

最後に「密接」とは、間近で会話や発声する場面を表しています。「密接」を避けるために幼稚園、小学校、中学校、高校、大学など教育機関などは休園休校になり、子供たちを感染から防ぐ対策がとられています。また公共交通機関や職場内、外出時など飛沫防止策としてマスクの着用が求められています。

 

ソーシャルディスタンスとは何か?

ソーシャルディスタンスとは、日本語では「社会的距離」または「社会距離拡大戦略」と訳すことができます。感染症はヒトが動き、ヒトが密集することにより感染が拡大しやすくなるので、感染したヒトと、感染していないヒトの距離をあけ、接触を可能な限り減少させるという方法です。いかに新型コロナウィルスの感染拡大を防止するかを最優先に、世界中の国々や国民がそれぞれ考え行動することかもしれません。

感染リスクを軽減するために一つの手段として飛沫感染を防ぐことがあげられます。飛沫に対しての理解をすることもソーシャルディスタンス=社会的距離を考えていくにあたり重要な知識です。

飛沫の定義は、一般的に5μmよりも大きな水滴とされています。また飛沫の落下速度は30cm~80cm/秒であるとされています。飛沫の飛距離は1m以内と言われますが、これは飛沫感染、つまり保菌者の口から出た飛沫が周囲の人の口や鼻に到達して感染を引き起こしうる距離のことだと考えられています。

飛沫による感染範囲は飛沫が飛び散る1~2m以内に限られていますが、空気感染は室内等の密閉された空間内で起こるものであり、その感染範囲は空調が共通の部屋間等も含めた空間内の全域に及びます。

また、くしゃみによって1回あたり約4万個の飛沫と飛沫核が生じるとされています。咳では1回あたり約3000個、また、5分間話すだけでも約3000個の飛沫と飛沫核が生じるとされています。

日常生活においてソーシャルディスタンスを厳守することは非常に難しいことではありますが、正しい知識を身に着け、できる限り気を付けて行動することが重要となるでしょう。

*1.保育所における感染症対策ガイドラインの文献を参照

 

新しい生活様式が始まる。

新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの日常生活にも大きな影響を与えました。新型コロナ禍を経て、新しい生活様式が日常化することが考えらえます。なぜならば飛沫感染リスクを避けるために人と人との距離が変化したからです。

この距離感はwithコロナ、afterコロナの社会生活において当たり前になってくる可能性があります。仕事での商談の距離、ショッピングするときの人との距離、歩くときの人との距離、学校・幼稚園・保育園での先生と子供、子供と子供の距離などが変わるかもしれません。

ソーシャルディスタンスを確保するための人と人との距離の目安は、1~2mと言われています。参考にまでに、人の腕の長さを知ることのできる簡単な公式があります。あくまで目安ではありますが、身長×42%=腕の長さと考えることができます。例えば身長170cmの人であれば(個人差はあり)、腕の長さは170×42%=約71cmになります。身長155cmの人であれば(個人差はあり)155×42%=約65cmになります。

仮に170cmの人と155cmの人が片腕を伸ばし合いをしたならば、お互いに約136cmの距離を保つことができます。人と人との距離を取るときの物理的な参考値になります。ただし、人が歩くとき、距離を保つ時に腕を伸ばしながら歩くことはまずあり得ません。人と人との距離をおく新しい生活グッズが必要とされるでしょう。

現在、傘や日傘はソーシャルディスタンスとして活用できるアイテムとしてとても注目されています。お店は晴れでも雨でも使える晴雨兼用として使用できるものも多く売られています。雨に日には雨傘として、晴れの日は熱中症対策や紫外線(UV)防止対策として1年中日傘として活躍するようになりました。昨年は男の日傘として男性も使用する日傘がニュースで話題にもなりました。アウトドアグッズや通勤グッズとしても重要なアイテムになってきました。with コロナ、afterコロナの生活にも欠かすことのできないアイテムにもなってくるといえます。

 

傘、日傘でどういった距離感、サイズ感になるのか。

通常、傘や日傘のサイズ表記は家庭用品品質表示法に則った表示が義務化されています。親骨の長さがサイズ表記になります。親骨といっても分からない人が多いのではないかと思います。

傘によるソーシャルディスタンス

ソーシャルディスタンスを保つサイズ感として傘の直径に注目しています。今後、傘・日傘を購入する際の目安として確認してみるとよいでしょう。概算ではありますが正式なサイズ表記=親骨の長さが55cmの折りたたみの場合の直径は約96~98cm、親骨の長さが60cmの折りたたみの場合の直径は約109cm、親骨の長さが65cmの折りたたみの場合の直径は約117cmになります。直径117cmの傘を持った人が2名並ぶと最低でも1mは離れることが可能になります。通勤中や通学中において人と人との距離を保つ手段として、傘や日傘を持ちながら歩くという新しい生活様式が育まれていくのではないかと思います。

 

おわりに。

多くの人が緊急事態宣言の自粛生活の中で、改めて当たり前であると思った生活、例えば旅行、飲み会、イベント、コンサートなどが今まで通り出来なくなった生活をいかに可能な世の中にしていけるよう我々はこの新型コロナウィルスの感染リスクと向き合うコントロールしていくように努めていけねばならないです。

その為にも我々生活者はwithコロナ、afterコロナという新しい社会とどう向き合っていくか、この時代を生きている私たちの新しい習慣、新しい生活様式、新しい豊かさの追求をしていくことが次なる未来を作り上げるのかもしれません。